8.酒のつまみ、再び

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 外のひんやりした空気が心地よい。  たいした量を飲んではいないはずなのに、少し身体が熱く感じる。  僕は隣を歩く崇さんを見つめる。  たぶん、僕はアルコールだけでなく、赤くなってるだろうけど、隣の崇さんは、いつもと変わらない。  あれくらいじゃ、酔わないのかもしれない。  それが、少しだけ悔しい。  周囲には、白い息を吐きながら家路についている人々。  そして、僕たちの足は、何も言わずとも、自然と崇さんの家に向かっていた。  そのせいか、百均で買ってきたつまにの入ったレジ袋の、カサカサという音が妙に耳についてくる。 「家についたら、それ、食うか?」  住宅街に入り、人の姿がまばらになってきた時、崇さんが声をかけてきた。
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