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「え?まだ飲むんですか?」
自分の吐く白い息が、アルコールの甘い匂いがする。
街路灯の灯りがポツンポツンと道を照らす。
「ん、せっかくテルくんが買ってくれたのに、それ食べながら飲まないの、もったいないなって」
「でも、これ、日持ちしますから、無理に食べなくても」
正直、僕はお腹いっぱいで、それほど食べたいとは思っていなかった。
むしろ、僕と会わない時とかに、崇さんが家で食べてくれたらいいな、と、思ってた。
「ちょっと、俺の方が飲み足りないってのもあるし」
崇さんが、チラリと僕の顔を見る。
そして、ニヤリと口角を上げて笑った。
あ、なんか、悪そうな顔。そんな崇さんを見るのは初めてで、僕はちょっとだけ戸惑った。
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