8.酒のつまみ、再び

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 カーテンの隙間からは日の光が漏れている。  今が何時なのか、時計を見るために、ぼーっとしながらも、サイドテーブルに視線が自然といってしまう。 「あ、あれ?」  寝る前にはあった、あのガラス製の時計。  それが今はなくなっている。もしかして、僕が変な反応をしてしまったから、崇さんが気にしてしまったのか。  僕は崇さんを探しに、腰に重だるさを感じつつも服に着替えると、ゆっくりと階段を降りた。  キッチンのほうからは、何か香ばしいいい匂いがしてきた。  僕は引き寄せられるように入口に立つと、そこでは崇さんが朝食の用意をしてくれていた。 「おはようございます」  崇さんの背中に声をかけると、少し驚いた顔で崇さんが振り向いた。
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