8.酒のつまみ、再び

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「これ……テルくん、受け取ってくれるかな」 「なんですか?」  手を差し出すように促され、崇さんのほうに手のひらを向けると、一つの鍵がぽとりと置かれた。 「鍵?」 「うちの鍵」 「えっ!?これって……合鍵?」  急な展開に頭がついていかない僕。  鍵と崇さんの顔を何度も見比べてしまう。  少し照れくさそうな顔をしながら、頭をかいている崇さん。 「なかなか会う時間がないから……よかったら」 「え、え、えと。いいんです……か?」 「ああ。テルくんが嫌じゃなければ」  僕は手のひらの鍵をギュッと握りしめると、椅子から立ち上がり、目の前にいる崇さんに抱き着いた。 「お、おっと!」 「嬉しいですっ」  崇さんはクスッと笑うと、背中に手を回してグッと力をこめて抱きしめてきた。
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