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親子連れがレジの前にカゴを載せる。ハロウィン関連のグッズが山盛りだ。子供は嬉しそうに母親を見上げている。
「いらっしゃいませ」
僕は一点一点確認しながら、バーコードをよんでいく。
この店は百均だというのに、キッズ向けのハロウィンの衣装は三百円とかする。物によっては五百円もある。そもそも、その値段で売ることが出来ること自体がすごいんだろうけれど、百均じゃないじゃん、という心の声は漏らすわけにはいかない。
「二千百六十円です」
大きなビニール袋を渡して、次のお客さんに対応する。
今年も僕はハロウィンの傷のシールを貼っている。
今回もやっぱり頬に貼るはめになったのは、新しく店長になった河原崎さんのご指名だった。
去年もやってはいるものの、たった一回で慣れるわけもない。恥ずかしさを押し隠して、僕はレジを続けた。
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