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「鳩山さん!大変ですよ!!どうするんですか!?」
「ど、ど、どうするもこうするも……!どうしよう!?犬塚くん……!?」
「先輩でしょ?何とかして下さい!」
こんな大事な時に限って、いつもは先輩風を吹かしている鳩山さんは役に立たない。
犬塚青年は茶色の髪を掻き上げながらそう思った。
しかし、そういう自分も恐ろしくてこの桜の木に近づけない。
2人の男は、今はまだ花の咲いていない桜の巨木を怯えながら眺めるしかなかった。
「に、逃げるんだ!犬塚くん!」
「え!?」
何を言うのかこの人は!!
この桜の木に人が、しかも女性が飲み込まれたというのに!!
犬塚は相手の眼鏡がずり落ちるのも構わず、鳩山の胸ぐらを掴んだ。
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