□プロローグ

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 小さい頃から僕は、漫画やアニメ、ゲーム等にハマって生きていたと言ってもいい。  いろいろな作品に触れた中でも、 いわゆる『レトロゲーム』と呼ばれる種類のゲームが自分に合ったらしく、 爺ちゃんの部屋に置いてあったゲーム機でとにかくゲームを遊びまくった。  腕前自体はお世辞にも上手くはなかったものの、 あの頃はコントローラーで操作しているだけでとても楽しかった。  そんな風に僕が爺ちゃんの部屋のゲームで遊んでいたある日、 爺ちゃんが部屋に戻ってきて僕のやっていたゲームを見て、少し悲しそうな声で言った。 『このゲームの中でも多くの人が傷つき、亡くなっているんだよ』  爺ちゃんの突然の言葉に、その時の僕はただ呆然とするだけだった。  だけど、その言葉は胸に深く刻まれ、 僕がアニメやゲームの世界について考えるようになったきっかけでもあった。  何故爺ちゃんがいきなりそんなことを言ったのかはわからないし、 爺ちゃんが亡くなっている今となっては言葉の本当の意味を聞くことはできない。  けれども、爺ちゃんが僕に何が言いたかったのかは何となく理解できるような気はする。
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