Act.2

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けれど私の前を歩く陸の歩みは、さっきまでとは全く違って。 歩くのが遅い私の速度に合わせたかのような歩幅でゆっくりと歩みを進めて行く。 その後に続きながら思った。 やっぱり陸の噂は嘘なんじゃないかって。 陸に相手にして貰えない人たちが勝手に言っているだけで、陸はそんな軽率な行動を取っていないんじゃないかって。 「あ、やべー。髭剃って来るの忘れた」 駅前のショーウインドウに映った自分の姿を確認しながら呟く陸に問いかける。 「コンビニでも寄りますか?」 「うーん、でもコンビニのトイレで髭剃りは出来ないっしょ」 「確かに……」 けれど腕時計で時間を確認した陸は、何でもないことのように私に言った。
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