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「だけど石原美怜だけは他の女子社員とは違った」
「えっ?」
「堀川さんを決して認めようとしなかったんです」
「……どういう……ことですか?」
思わず問いかけると吉岡さんは穏やかな声でその理由を口にした。
「彼女の父親も設計士だったからです」
「…………」
「彼女の父親は有名な設計士で彼女の故郷の駅舎も父親が設計しました。
その駅舎の斬新さが注目されてメディアにも取り上げられたほどです。
僕もその駅舎がきっかけで、設計士になろうと思ったんです」
「そうなんですか……」
「確かに堀川さんも独創的な設計をしますが、美怜の父親の感性とはまた違う。
けれど僕は堀川さんの設計の方が好きですけどね」
そう言って吉岡さんはどこか寂しそうな表情で瞼を伏せた。
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