Act.9

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「お願い、陸……見捨てないで」 聞こえて来た美怜さんの声は悲しそうに震え、まるで命乞いのようにさえ思えてたまらなく胸が痛くなる。 けれど私はどんな光景を見ようとも、逃げたりしない。 そんな覚悟をしながらパーテーションの隙間に足を踏み入れた。 途端にこの目に映ったのは、いつものようにデスクのパソコンと向き合う陸の背中と……床に土下座する美怜さんの姿だった。 「…………」 言葉を失って歩みを止めた私に気づき、慌てて美怜さんは床から立って背中を向ける。 おそらく頬にあった涙の雫を拭っているのだろう。 けれど陸は何事もなかったかのように椅子を回転させると笑って言った。
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