Act.9

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「朝からため息ですか?」 エレベーターの中から聞こえた声に慌てて背筋を伸ばす。 すると水野さんはチラリと私の手元を見て、エレベーターのドアが閉まらないよう手を掛けてくれた。 「堀川さんの朝食の調達ですか?」 「あっ、いえ……あの……」 まさか陸には私が弁当を手作りしたとも、私の分を買って来いと言われたとも言えずに口ごもってしまった。 「…………」 「…………」 沈黙しながら俯く私を水野さんはどこか冷めた瞳で見つめると、ため息を吐き出しながら私の腕を引いた。 ゆっくりと閉じたエレベーターのドアは、小さな空間の中に私と水野さんを閉じ込める。
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