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途端に陸の表情は険しく変わって美怜さんを冷たく見下ろす。
「どーいう意味?」
陸の問いかけに美怜さんは悲しそうに瞬きしながらそれに答えた。
「今までのアシスタントの子たちだって皆、陸に好きになって欲しくて必死だったわ。
あなたがその気じゃないのは分かっていても恋をしたら誰だって貪欲になる。
少しでも自分を見て欲しくて努力していた彼女たちの思いを否定する権利は誰にもないでしょう」
「くだらない。ここは職場でお見合いパーティーの会場じゃない」
「だけどそれだけじゃないわ。東吾君のことだって……」
しかし美怜さんが言いかけた時だった。
「美怜、辞めろ」
いつの間にか設計部にやって来ていた吉岡さんの声が美怜さんの訴えを阻止する。
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