290人が本棚に入れています
本棚に追加
一触即発かと思えるほど鋭い瞳を交差させる陸と吉岡さんを止めるべく私は二人の間に割って入った。
けれどその行動は美怜さんには私までが陸を庇うかのように見えたのだろう。
「岸谷さんも知るべきよ」
「えっ?」
「堀川陸が本当はどんな男なのか」
「…………」
その時、陸が椅子から立って私を自分の背中に隠すように押しやる。
「なぁ美怜、お前が言うように吉岡が設計士を諦めた理由が本当に俺だったとしても、それは吉岡が自分で決めたことだ。
それに美里はこの件については部外者で、そこに彼女を巻き込むことは俺が許さない」
真っ直ぐに美怜さんと向き合う陸の背中の向こうには、どこか悲しそうな瞳に変わった吉岡さんの姿が見えて私まで何だか悲しくなった。
最初のコメントを投稿しよう!