Act.10

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「…………」 「やっと私も分かりました。堀川さんの心にずっといたのは美怜さんではなく、あなただったのだと」 「えっ?!」 思わず目を見開いた私に水野さんは呆れたように笑った。 その時、仮眠室の向こうで大きな怒声が響く。 「ふざけるな!!」 その声がいったい誰のものなのか、すぐに気づいた水野さんと私は仮眠室から飛び出し設計部のオフィスへと戻る。 するとそこには陸の胸倉を掴んで詰め寄る吉岡さんの姿があった。 「僕はアンタのおもちゃじゃない!」 「誰もお前をおもちゃなんて思ってねーよ」 「じゃあどうして……っ……」 悔しそうに唇を噛みしめる吉岡さんを、どこまでも冷たく見つめる陸の様子を周りにいる社員も唖然としたまま見つめている。
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