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「分かりました。ではこの辞表は人事部でも受理させて頂きます。
しかし現状、堀川さん指名で請けてしまっている案件につきましては全て設計図だけは仕上げておいてください。
後の処理は他の設計士でも何とかなるでしょうから」
「うん、設計図ならもう全部出来てる」
「……そうですか。
さすが堀川陸。飛ぶ鳥跡を濁さず、ですね」
「飛ぶ鳥? 発つ鳥じゃないのかそれ?」
「いえ、飛ぶ鳥です。
あなたはここから飛び出して行くんですから」
「ふはっ!何とでも言え」
吉岡さんの皮肉に陸は投げやりに答えて笑った。
そして仮眠室のドアの前で立ちつくす私と水野さんの微笑みながら声を掛ける。
「という事で、俺、この会社辞めることになったから。
水野さん、申し訳ないけど岸谷さんが完璧に仕事覚えるまで引き続き面倒見てあげて」
……それってつまり……。
陸は私をこの会社に残して辞めて行くということだ。
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