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高校卒業を目前に控えた私たちは、お互いがそれぞれの夢を叶えるべく離れる決意をした。
あの日、陸と交わした会話をひとつひとつ頭の中に思い浮かべてみる。
『俺達、これからどーする?』
『ね……どうしようか』
『遠距離恋愛……してみる?』
『……うーん……』
お互いが心の中で激しい葛藤を繰り返していた。
生まれ育った土地を離れることへの不安。
新たな土地で生きることへの不安。
遠距離恋愛になった私たちの気持ちが離れてしまうことへの不安。
当時から女子に絶大な人気を誇っていた陸が、離れることによって誰かに盗られてしまうんじゃないかって。
あの時の私は不安以外の何もなかった。
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