Act.10

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高校卒業を目前に控えた私たちは、お互いがそれぞれの夢を叶えるべく離れる決意をした。 あの日、陸と交わした会話をひとつひとつ頭の中に思い浮かべてみる。 『俺達、これからどーする?』 『ね……どうしようか』 『遠距離恋愛……してみる?』 『……うーん……』 お互いが心の中で激しい葛藤を繰り返していた。 生まれ育った土地を離れることへの不安。 新たな土地で生きることへの不安。 遠距離恋愛になった私たちの気持ちが離れてしまうことへの不安。 当時から女子に絶大な人気を誇っていた陸が、離れることによって誰かに盗られてしまうんじゃないかって。 あの時の私は不安以外の何もなかった。
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