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あの日の自分を悔いながら呆然と時間をすごしていると、通りの向こうのショップに隣接したビルの入口に立てられたのぼり旗が映り込む。
『大切な思い出を保存します』
生温かい夜風にゆらめく文字に思わず失笑する。
「思い出……か」
あの桜の木の下で、どうしても言い出せなかったあの日の俺。
しかしそれこそが、今の俺の原動力であり原点だ。
なぁ、美里。
お前にとっては大迷惑かもしれないけど。
ゆっくりと歩き出した俺は、通りを横断して旗がゆらめくビルの前に立った。
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