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そんな二人のやり取りを横目で見ていた美怜が、ビール瓶を手にすると水野さんに向き合った。
「水野さん、私のあとを継ぐアシスタントリーダーは、あなたを推させてもらったの。どうかこれからも設計部のこと、よろしくお願いしますね」
「……はい」
「それと……私の大切な人のことも」
「えっ?」
「彼は水野さんが大好きみたいだから」
そう言って微笑みながら社長の向こうから水野さんにお酌する美怜を吉岡が物言いたげに見る。
しかし、美怜の心中は穏やかではないことに俺は気づいていた。
社長が美怜との結婚を決めたのは、3ヶ月ほど前のことだ。
しかしその理由が政略結婚であることは、誰の目にも明らかだった。
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