Act.13 Side R

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しかしそれから半年後。 南雲さんの時と同じように、全くその気にならない俺に愛想を尽かせた金山さんは、正社員契約の打診を断って退社して行った。 「全く……。やっと使えそうな人材だったのに」 会議室まで呼び出されて、吉岡から説教を食らう、俺。 「俺のせい?」 「それ以外に何か心当たりでも?」 「……ありませんけど」 「そうでしょうね。もういい加減にひとりの女性に絞って結婚でも考えたらどうですか?」 「そんな女、いねーし」 「すぐ近くにいるじゃないですか」 「はぁ? どこにいんの?」 ふざけたつもりでもなく、真面目に聞いたのに何故か吉岡は不機嫌そうに眉根を寄せた。
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