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その時、吉岡の携帯がスーツのポケットで小刻みな振動を繰り返し始めた。
怪訝な表情のまま、携帯を手に取った吉岡は液晶画面を見てから俺に言った。
「派遣会社の磯部さんからです。新しい派遣社員を送り込んでくれる連絡でしょう」
「へー」
心の片隅で、今度こそ美里でありますようにと祈りながら聞き耳を立てる。
すると電話に出た吉岡は、派遣社員の情報を聞きながら更に怪訝な表情へと変わった。
「……そうですか。CADの経験がないんですか……。
まぁとりあえず面接だけはしますけれど……。
ええ、では明日の午後二時に。はい、よろしくお願いします」
どこか面倒臭そうに電話を切った吉岡は頭を抱えてテーブルに肘をつく。
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