Act.14 Side R

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上手い駆け引きなんてものは出来なくて、緻密に計算したつもりでも所詮は女性の手の平で踊らされる猿でしかない。 どれだけ仕事の出来る男であろうと、結局は女から生まれた創造物だ。 だからこの世をリードして行くのは、男ではなく永遠に女なんじゃないかと俺は思っている。 俺がこんなにも美里を心から消せなかったのは、それまで俺が強く感じたことのなかった”感情”というものを教えてくれたからだ。 人を愛することから知る楽しみ。 人を信じることから生まれる喜び。 大切なものを壊されることから湧き出る怒り。 そして……彼女を失って初めて知った哀しみ。 俺が描く構築物において、最も大切なもの。 その全てを俺は美里から教えてもらった。
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