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ショーウインドウに映り込む、もう一人の俺が悪戯に囁く。
「まだ東雲部長との約束の時間まで1時間くらいあるから、ちょっとこの先のラブホに寄ってもいい?」
「……は?!」
「そこで髭剃るから」
「……じょ……冗談ですよね?」
「いや、本気」
もっともっと俺にドキドキすればいい。
型破りでお前の理想とかけ離れた、堀川陸という……
……最低な男に。
10年前の俺も、そして今の俺も。
お前の心を揺さぶる唯一の男であるために。
「ラブホに入ったところで、発情するほど女に不自由はしてないからご心配なく」
「なっ……」
言葉に詰まる彼女に思わず笑う。
もっともっと動揺しろ。
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