Act.15 Side R

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ショーウインドウに映り込む、もう一人の俺が悪戯に囁く。 「まだ東雲部長との約束の時間まで1時間くらいあるから、ちょっとこの先のラブホに寄ってもいい?」 「……は?!」 「そこで髭剃るから」 「……じょ……冗談ですよね?」 「いや、本気」 もっともっと俺にドキドキすればいい。 型破りでお前の理想とかけ離れた、堀川陸という…… ……最低な男に。 10年前の俺も、そして今の俺も。 お前の心を揺さぶる唯一の男であるために。 「ラブホに入ったところで、発情するほど女に不自由はしてないからご心配なく」 「なっ……」 言葉に詰まる彼女に思わず笑う。 もっともっと動揺しろ。
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