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しかし間接照明に照らされたショーウィンドウに映り込む己の姿に失笑。
「あ、やべー。髭剃って来るの忘れた」
嫌われたくて伸ばし始めた髭も、美里の前ではもう必要ない。
「コンビニでも寄りますか?」と尋ねて来た美里を見つめて、ふと思った。
お前さ、何でそんな余裕なワケ?
過去の男とこんな形で再会して、その男の専属アシスタントになって。
これからクライアントが同席するとはいえ、一緒に酒の席に向かってるっていうのに。
少しくらいはドキドキとかして欲しいのになぁ……。
落胆する俺に気づくことなく、何かいい策はないかと迷う彼女を見おろしながら思った。
やっぱムカつく。岸谷美里。
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