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その日の業務をそろそろ終えようかという頃、謎だらけのCADソフトと格闘している美里に俺は声を掛けた。
「アシさん、悪いけど今日残業出来る?」
「……え?」
「新人であろうとベテランであろうと俺の担当になったからには外せない仕事もあるから」
「…………」
唖然とした美里は、救いの目を水野さんに向けた。
しかしクライアントとの緻密な打ち合わせが必要不可欠なこの仕事。
一日も早く美里にもこの業界のことを知って欲しいと願うのは俺だけではないはずだ。
「残業の場合は時給もアップしますし、特に用事がないなら岸谷さん残業をお願い出来ますか?」
「……はい、大丈夫です」
水野さんの説得に、どこか腑に落ちない表情のまま美里は頷いた。
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