Act.18 Side R

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「以前から言っているように俺は世界進出する気もないし、俺がこの設計部のトップでいる以上、石原設計事務所自体が世界進出することは出来ない。美怜や石原社長が望むこの会社の未来に、俺はそぐわない人材だってことにお前自身も気づいているはずだ」 「…………」 黙ったまま涙を落としていた美怜は、その場に崩れるように膝をついた。 「コンペのタイトル獲得が重なったこの時期にこんなことになって申し訳ないとは思ってる。 だけど今の俺があるのは全て……たった一人の女のおかげなんだ」 「……前に言ってた……死ぬほど惚れたたった一人の女?」 「そう。彼女がいたから一級建築士の堀川陸がいる。 俺の原点は全てが彼女なんだ。美怜の原点が石原社長であるのと同じでな」 黙って俺の話を聞いていた美怜は、肩を落としてうなだれる。 しかしどうしても諦めのつかない彼女は、震える声で呟いた。 「お願い、陸……見捨てないで」 しかし次の瞬間、俺の耳に聞こえたのは美怜の声ではなく、俺達に歩み寄る誰かの足音だったんだ。
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