Act.18 Side R

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真っ暗闇だったオフィスの一部に照明を灯す。 どのスイッチを押せば設計部の照明がつくのか、全て把握しているのはこの照明をつけるのも消すのも、いつだって俺だったからだ。 そこでまた改めて自分の人生を振り返って失笑する。 我武者羅に働いて、この会社をあの社長と共に大きくしたいと思った。 だけどそれは俺の夢ではなく、石原社長の夢を応援したかったからだ。 自分のデスクにあるパソコンのスイッチを押して、起動して行く画面をぼんやりと眺めながら深いため息をつく。 あの賞を俺が辞退したら、おそらくこの会社はここまでだ。 今の石原社長に、この会社を更に躍進させるだけの体力はない。 だけど吉岡が設計部に戻ってくれたら……。
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