278人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ暗闇だったオフィスの一部に照明を灯す。
どのスイッチを押せば設計部の照明がつくのか、全て把握しているのはこの照明をつけるのも消すのも、いつだって俺だったからだ。
そこでまた改めて自分の人生を振り返って失笑する。
我武者羅に働いて、この会社をあの社長と共に大きくしたいと思った。
だけどそれは俺の夢ではなく、石原社長の夢を応援したかったからだ。
自分のデスクにあるパソコンのスイッチを押して、起動して行く画面をぼんやりと眺めながら深いため息をつく。
あの賞を俺が辞退したら、おそらくこの会社はここまでだ。
今の石原社長に、この会社を更に躍進させるだけの体力はない。
だけど吉岡が設計部に戻ってくれたら……。
最初のコメントを投稿しよう!