エピローグ

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降り立ったホームでは、満開の桜が私を温かく迎えてくれた。 あの頃と変わらぬ二つしかない改札を抜け、線路沿いの小道へと私は足を進めた。 駅から続く砂利道の先には、彼と約束を交わした千年桜が咲き誇る土手がある。 柔らかな春の陽射しと、ひらひらと花に舞う紋白蝶。 蒲公英が咲き誇る思い出の道を進んだ私は、少し汗ばみながら川の土手へとたどり着いた。 川沿いに伸びたサイクリングロードは、遥か先まで桜雲が続いている。 その中でもひときわ大きなソメイヨシノへ、私はゆっくりと歩み寄った。
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