Q,2 今、考えなければならない事 A.森屋の事

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屋上への扉は南京錠がかかっている。 生徒の事故を防ぐ為だろう。 まぁ、前から鍵が付いていたのは俺も知ってたんだけど… 「帰ろっか」 俺がそう言うと、森屋は口の端を少し上げた。 「こないだね、柿本がさ、見つけたんだ。 この南京錠壊れてて、強く引っ張ったら開くんだってさ」 柿本、そんな事ばっかしてんだな。 でもこの時ばかりは、柿本ナイスと思った。 俺も屋上にいつか出てみたいな、なんて思ってたからだ。 森屋は南京錠を力いっぱい引っ張る。 ドアが揺れ、鍵がガチンと音を立てた。 「ほら、開いた」 森屋は南京錠を外して、屋上の扉をあけると 少しだけ強い風が俺と森屋を包み、それから吹き抜けて行く。 俺達は屋上に出て、そっと扉を閉める。 南京錠はバレないように引っ掛けておいて。 雲は相変わらず重いけど、すごく気持ちいい。 「気持ちいいね、屋上」 俺は屋上の端まで行くと景色を見渡した。 森屋は俺の後ろからゆっくりと歩いて来て、横にやって来る。 「駅が見えるよ。 それから、沙羅達といつも行ってるたこ焼き屋さんは、どの辺かな…」 強い風を受け、俺は髪を押さえながらたこ焼き屋を探した。
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