Q,2 今、考えなければならない事 A.森屋の事

13/18
前へ
/440ページ
次へ
俺達が移動した途端に、雨は激しく降ってきた。 バケツをひっくり返したような雨ってこんなのを言う。 激しい雨は、俺達の前に白いカーテンをかけたように景色を消してしまい、ゴロゴロと雷の音が遠くの方で鳴っていた。 屋根はそんなに長くないから、これだけ激しいと雨水が跳ね返って飛んできた。 腕や足元が結構濡れてきている。 お互いにハンカチを出して腕や肩を拭く。 「境の頭、濡れてるよ。」 森屋は俺の頭に付いている雨水の雫を拭いてくれた。 森屋が俺に近付くと、ふわっといい香りがして思わず、鼓動が跳ねる。 俺は慌てて照れ隠しに 「森屋クンも頭濡れてるよっ」 そう言いながら、森屋の耳の上辺りを軽くハンカチで押さえた。 よく見ると頭の上の方も雫で光っている。 背伸びして拭こうと手を伸ばした時、森屋に伸ばした手を掴まれて、抱き寄せられた。 「ちょ……っ、も、森屋クン…っ」 「…ごめん、境。ヤバい。止まんない」 「へ?」
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1605人が本棚に入れています
本棚に追加