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俺達が移動した途端に、雨は激しく降ってきた。
バケツをひっくり返したような雨ってこんなのを言う。
激しい雨は、俺達の前に白いカーテンをかけたように景色を消してしまい、ゴロゴロと雷の音が遠くの方で鳴っていた。
屋根はそんなに長くないから、これだけ激しいと雨水が跳ね返って飛んできた。
腕や足元が結構濡れてきている。
お互いにハンカチを出して腕や肩を拭く。
「境の頭、濡れてるよ。」
森屋は俺の頭に付いている雨水の雫を拭いてくれた。
森屋が俺に近付くと、ふわっといい香りがして思わず、鼓動が跳ねる。
俺は慌てて照れ隠しに
「森屋クンも頭濡れてるよっ」
そう言いながら、森屋の耳の上辺りを軽くハンカチで押さえた。
よく見ると頭の上の方も雫で光っている。
背伸びして拭こうと手を伸ばした時、森屋に伸ばした手を掴まれて、抱き寄せられた。
「ちょ……っ、も、森屋クン…っ」
「…ごめん、境。ヤバい。止まんない」
「へ?」
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