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「境?」
「ご、ごめっ…」
俺は急いで手を離し、一歩下がった。
でも一歩下がった先は屋根から出てしまった大雨で、慌てた森屋に屋根の下に引き入れられる。
雨はザァザァと勢いよく降り、さっきと変わらず周りの景色も音も消している。
「ね、境…」
「ん?」
俺は再びハンカチで自分の体を拭きながら返事する。
「境っていい匂いするよね。何の香水使ってるの?」
「え?何にも使ってないよ?なんだろ、シャンプーかな?
でも、私より森屋クンのがいい香りするじゃん。」
「俺は、その辺に売ってるコロン付けてるけど、俺もコロンやめて、境とおんなじシャンプーに変えよっかな」
「えっ!?森屋クンはその香りがいいよ…って…
私が決める事じゃないね、ごめん。でも、いい香りだよ?それ」
「ん…そう?境がそう言うならつけとこうかな?」
「女の子にモテそうな香りだよ」
「俺は…境に好きになって貰えれば、それでいいんだけど」
「うあっ、んっ!」
森屋は再び自分の胸に俺を抱きしめた。
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