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放課後になって。
俺はカバンに教科書を詰め、帰る用意をする。
「おぅ、帰るぞ」
振り返ると、帰宅の支度バッチリの相瀬が、俺を見下ろしている。
「…分かってる」
まだ教室に残っている女子が、相瀬が俺に話しかけているのを見て、何かヒソヒソ話しているのが見えた。
「相瀬、廊下で待ってろ」
ボソッと呟く俺の言葉を聞き、相瀬は周りを見渡した。
女子が別の場所を一斉に見る。
「…竜と呼べと言っただろ…」
そう言いながら相瀬は廊下に出て行った。
カバンに全部詰め終わると、何もないように俺も廊下にでた。
廊下で壁にもたれて立っている相瀬を無視し、そのまま歩いて行く。
相瀬は俺が通り過ぎてから、3メートル位後ろをついてきた。
俺は廊下を曲がり、階段を下りる前に立ち止まり相瀬を待った。
すぐに相瀬が廊下を曲がって来る。
「多分、校門を出た辺りに菅原がもういるはずだ」
「峰徳は6時間授業じゃないのか?
この時間に待てるってどういう事だ」
「さぁな。俺は聞いてないから知らん」
「その位聞けよ」
相瀬と一緒に階段を下り、校門へ向かう。
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