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買い物その1
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電車の中。
ギュウギュウに詰め込まれた車内で顔をなんとか上に向ける。
うぅ、苦しい。
隣のおっさんの整髪料の匂いもクセェ…
そんな気分が悪い時に、俺のケツに不快な感触が。
痴漢か。
手の向きから言って、俺の右斜め後ろ。
手は少しずつ下に降り、スカートの中に手を入れようとしている。
触らせるか!
俺はソイツの人差し指をすばやく握ると、手の甲側に折り曲げてやった。
「いてててっ!!」
手を引き抜こうとする細身のオッサンは、顔を痛みで歪めている。
「泣かすぞ、おらぁ。」
俺は眼光たっぷりにオッサンを睨み付け、ボソリと低い声でつぶやいてみるが。
これだけの満員電車。
可愛い顔の俺が、まるでチンピラみたいに顎を斜めに上げながら、眉を歪め、オッサンの指を折り曲げている姿には俺の近くの乗客には引くものがあったようだ。
俺も周りの反応に気付き、ハッと我に返ると、コホンと咳払いをする。
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