ステップ6 蜜月

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今日は仕事中にわからないところを聞いても、しょうがねえなと悪態をつきつつも意地悪せずに教えてくれる。 でも、教えてもらっている間に今度はわたしの居心地が悪くなる。 わたしを見る広斗の目が優しい気がして、恥ずかしくて目を合わせることができない。 広斗の眼差しに耐えられなくて、慌てて目線を逸らして俯いたわたしの頬に、広斗の指の背が触れる。 撫でるようにして優しく動かされて、更に心臓の音が大きくなっていく。 「どうした? 体調悪い?」 「わっ悪くない!」 不覚にも上擦った声が出た。 「……変なやつ。でも目の下のクマすごいな」 「そう、かな?」 「昨日、二時間も寝てないからか。無理させたな。悪い」 広斗の親指が目元を辿る。 その言葉も、その指も一体なにを考えているの。 やめてよと声にならない心の叫びをあげながら、一人で視線を彷徨わせて慌ててしまう。 「だ、大丈夫です!」 広斗の手から逃げるようにして顔を逸らせたけれど、思わず敬語になってしまった自分が更に恥ずかしい。
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