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「アヤノ、とってもキレイ。プリンセスね!」
「ありがとう、リサ」
「ねぇ、アヤノ。わたしも、いつかアヤノみたいになれる?」
ピンクのチュールをあしらった可愛らしいドレスを身に纏ったリサが、瞳をきらきらと輝かせて問う。
私は、胸元のネックレスに手を触れて、大きく頷いた。
「なれるわ」
「本当?」
「だって、リサは私と龍介さんにとって、お姫さまだもん。ね、龍介さん」
「リサは生まれた時から、俺にとってお姫様だよ」
龍介さんはリサを軽々と抱き上げて、その黒目がちな瞳を眩しそうに細めた。
「早くステキなプリンセスになりたいな」
「……でも、まだ嫁は早くない? 俺、めっちゃ嫌なんだけど」
「ちょっと、龍介さん……」
「だってリサが嫁にいくとかさ。変な男だったらどうしよう。俺、絶対、本当に絶対無理」
「リュウ? 大丈夫よ。わたし、リュウよりカッコいい人じゃないと結婚しないわ」
「……だって、龍介さん」
「……リ、リサ」
「もう。リュウってば。泣かないのよ」
龍介さんが涙ぐむと、周りには笑顔が溢れる。
金髪、タトゥー、髭にピアス。
涙もろい彼の傍にいれば、いつだって笑顔になれる。
―『シンデレラ・スキャンダル』 完―
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