あらすじ&四章 魔エルピート

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「やははははっ、なんだこれ、楽しいぞ?」 チビ魔を人差し指につかまらせて高い高いをしたら、気に入ったらしい。 「おい、おまえ!もっとだ。もっと高ーく!」 「しっかりつかまってろよ」 皇輝は顔より上まで腕をあげてやった。 「うはあ!いいな、いいな!高いぞ!」 「いやだけど、あんた、飛べるんじゃないのか? それ、その背中のって羽だろ?」 「・・・・・・・・」 チビ魔がものすごく分かりやすく、うなだれた。 漆黒で艶々の羽が力無く、垂れ下がる。 もしかして。 「悪い。・・・あー、あれだ。あんた、ペンギンの仲間なんだな」 「? ペンギンってなんだ?」 「鳥。鳥だけど空は飛べないやつ」 「!!! お、おまえ、ひどいやつだな!」 がぶっ。 「いてっ。こら、噛むんじゃない」 「やっぱりニンゲンはダメだ!キライだ!」 ぷいっと力いっぱい横を向くチビ魔は愛嬌たっぷりで、皇輝はくっと笑ってしまった。 ちょいちょいと羽に触れると、見た目どおりの艶やかな手触りで気持ちがいい。   おかしな生き物に触ることを、なぜ自分は全くためらわないのか。 不思議ではあったが、それも全部あの弱々しい男のせいだと思うことにした。
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