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「来るまでの店の損害を考えろ。それとも、その分をおまえの給料から引いてもいいのか?」
「とばっちりじゃないですか」
文句を言いながらも、給料が減るのは嫌なので、ベリルは仕方なく重い壺を抱えて外に出た。
そこでは若者二人が元気に殴り合いをしていた。
「本当に店の真ん前だし。……ちょっと、二人とも迷惑なんですけど! よそへ行ってくれませんかねぇ!」
肚をくくって大声で呼びかけてみたが、二人の耳には入っていないようだ。
やじ馬もぐるっと囲んでいて好き勝手なことを言って騒いでいるので、かき消されてしまったのかもしれない。
ベリルは、壺の蓋を開けると手を突っ込み、塩をわし掴んだ。
そして、豪快に投げつけた。
「お前ら、いい加減にしろーッ!」
横合いから大量の塩をかけられた二人は、さすがにベリルを無視できなかった。
殺気立った目が向けられる。
ベリルは一瞬怯んだが、すぐに気を強く持つと再度、塩を投げつけた。
「店の前でケンカしないでよ! 営業妨害だよ!」
「うるせぇ! どこでやろうがテメェにゃ関係ねーだろ!」
「関係あるから出てきたんだっつーの! 裏路地にでも行きなよ!」
「何でもいいから邪魔すんな!」
「おまえから先に殺すぞ」
「やれるもんならやってみろ!」
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