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「話したところで、もうお店に戻れない……。私、クビ……うぅっ」
「泣くなよ……。次の仕事先くらい探してやるからさ」
「もうないよ……だって、これが200回目のクビだもん……」
「……」
どういうわけかベリルは仕事先でいつもトラブルに巻き込まれていた。
この三年間で、今日で200回目の解雇であった。
その数字に男もかける言葉を失った。
「私みたいな貧相な体じゃ……夜の商売もできない……」
「そんなこと言うな!」
「じゃあ、できるって言うの? そりゃ、貧乳が好きな人もいるかもしれないけど……」
「いや、そういう意味じゃなくて。……おまえ、魔法使えるんだよな」
「ちょっとだけね……」
それがどうしたのか、とベリルは半泣きの顔をあげた。
「適性もあるけど、とりあえずスイーパーになってみない?」
思わぬ勧誘にベリルは喜ば……なかった。
彼女は顔を青くして拒絶を示す。涙も引っ込んでいた。
「スイーパーだけは嫌。できない。魔物と戦うなんて無理」
「そう? でも、仕事を選ぶ余裕なんてあるの?」
ベリルの目に、再び絶望の涙がにじむ。
男は傍らにしゃがみこむと、
「別に、おまえを追い詰めようとして言ってるんじゃないんだ」
と、励ますように肩に手を置いて言った。
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