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約束のその日は大雨だった。
マンションの前に止まる、彼の車の音が聞こえ、窓の外をのぞいた。
その瞬間、携帯が鳴り、彼の声が外に出てくるように告げる。
いつでも出れるようにと、椅子に掛けてあったコートとカバンを手に、家を出た。
車の外に出て、私が出てくるのをじっと見つめている。
元気のない、笑顔。
「濡れたでしょ」
傘をさしていても一瞬でびしょ濡れになってしまうほどの大雨。
カバンの中に入れていた大き目のタオルを取り出し、スカートのすそを丁寧にふいた。
「そのうち乾くと思います」
「暖房、強めにしておくね」
そういうとアクセルを踏み、何も告げずに目的地に向かいだす。
私のほうは見向きもしないで、ただひたすら、まっすぐ前を見つめる彼。
景色は雨で流れていき、だんだん、高いビルが消え、車さえもまばらな場所までやってきた。
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