第7話 その愛①

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第7話 その愛①

その医師の髪型は全体的にシャギーを入れたミディアムショートで、 深い緑色の艶やかな髪は金色のメッシュが入れてあった。 …こう表現すると奇抜な感じであるが、 むしろ彼の天使のような優しく端麗な顔立ちに 絶妙にマッチしている。 深緑の長いまつ毛に縁どられたその瞳は琥珀色で 澄んだ光を放つ。深緑の整った眉。 色黒でも色白でもない程良い文字通り肌色の肌。 長身スリムな体に白衣姿はその背に白い翼があるように思わせる。 まさに「癒しの天使」を連想させた。 「…あなたは本当に彼の事が大好きなのですね」 その医師、星影光輝(ほしかげこうき)は 柔らかく優しい笑みを浮かべた。 まさに天使の微笑みとはこういうものか! と思える笑みだ。 由依は寿哉に連れられて メンタル・内科クリニック「Espoir~エスポワール~」※ に来ていた。 「そう…私は、寿哉が好き…」 由依は話しながら自然と涙が溢れてくる。 診療室に呼ばれて椅子に座ると、 「頑張りましたね。一人で耐えるのは辛かったでしょう」 と開口一番、自分を労ってくれた光輝に、 由依は不思議と瞬時に打ち解けてしまった。 …まるで魔法にかけられたかのように…。 「さぁ、言葉にならなくても大丈夫。 誰にも言えなかった想い、吐き出していきましょうか。 言葉に詰まったら、 無理に言葉にしようとしなくて大丈夫ですからね」 と言う優しい医師に誘われるまま、 由依ポツリ、ポツリと想いを口にし始めたのだ。 由依「…アメリアになりたくて…」 光輝「彼にプレゼントして貰ったお人形だね」 由依「寿哉はアメリアをよく見てて…それで… 彼はピグマリオンコンプレックスかな、て」 光輝「そうか。由依ちゃんはそう感じたんだね」 由依「…前は…私だけを…見てくれた…の…」
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