43人が本棚に入れています
本棚に追加
第7話 その愛①
その医師の髪型は全体的にシャギーを入れたミディアムショートで、
深い緑色の艶やかな髪は金色のメッシュが入れてあった。
…こう表現すると奇抜な感じであるが、
むしろ彼の天使のような優しく端麗な顔立ちに
絶妙にマッチしている。
深緑の長いまつ毛に縁どられたその瞳は琥珀色で
澄んだ光を放つ。深緑の整った眉。
色黒でも色白でもない程良い文字通り肌色の肌。
長身スリムな体に白衣姿はその背に白い翼があるように思わせる。
まさに「癒しの天使」を連想させた。
「…あなたは本当に彼の事が大好きなのですね」
その医師、星影光輝(ほしかげこうき)は
柔らかく優しい笑みを浮かべた。
まさに天使の微笑みとはこういうものか!
と思える笑みだ。
由依は寿哉に連れられて
メンタル・内科クリニック「Espoir~エスポワール~」※
に来ていた。
「そう…私は、寿哉が好き…」
由依は話しながら自然と涙が溢れてくる。
診療室に呼ばれて椅子に座ると、
「頑張りましたね。一人で耐えるのは辛かったでしょう」
と開口一番、自分を労ってくれた光輝に、
由依は不思議と瞬時に打ち解けてしまった。
…まるで魔法にかけられたかのように…。
「さぁ、言葉にならなくても大丈夫。
誰にも言えなかった想い、吐き出していきましょうか。
言葉に詰まったら、
無理に言葉にしようとしなくて大丈夫ですからね」
と言う優しい医師に誘われるまま、
由依ポツリ、ポツリと想いを口にし始めたのだ。
由依「…アメリアになりたくて…」
光輝「彼にプレゼントして貰ったお人形だね」
由依「寿哉はアメリアをよく見てて…それで…
彼はピグマリオンコンプレックスかな、て」
光輝「そうか。由依ちゃんはそう感じたんだね」
由依「…前は…私だけを…見てくれた…の…」
最初のコメントを投稿しよう!