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そしてついに、光輝の言葉が核心に触れたのだ。
「…あなたは本当に彼の事が大好きなのですね」
…そう…私は、寿哉が好き…
「人形に嫉妬するちっぽけな自分が嫌で!
彼にそんな自分悟られたら嫌われると思って!!」
由依の想いは爆発した。
「…そう、それで自分で自分の事が大嫌いになったんだね。
由依ちゃん、彼の事が大好きな筈なのに、
気づけば誰の事を一番考えていたか分かるかい?」
光輝はゆっくりと優しく問いかける。
「!!!」
由依はそこで初めて現実に返った。
「私は…アメリアの事ばかり…」
「聞いてみたかな?
彼がアメリアを見るようになった経緯を…」
光輝はそう問いかけつつ、
さり気無くパステルグリーンのテッシュBOXを差し出す。
…そうだ、全て私の妄想…
由依光輝からテッシュを数枚受け取りつつ、
溢れ出る涙がそのままにしている事に気づいた。
「聞いてみようか、彼に直接。
目を見て声を聴いて、体温を感じながら…」
由依はこっくりと頷いた。
光輝は自ら席を立ち、診察室のドアを開ける。
寿哉は光輝に誘導され、診察室へと入ってくると、
由依の正面に立った。
そして心配そうに、同時にこの上なく愛し気に由依を見つめた。「ごめんな、由依」
寿哉はそう言って両手を広げた。
「…そんな、寿哉が謝る…必要なん…て…」
由依は堪らなくなって彼の腕に飛び込んだ。
彼はしっかりと彼女を抱きしめる。
…寿哉…あったかい…
久々に感じる寿哉の体温、鼓動を感じ、
由依は今ここに自分が存在し、
そして生きている事を実感した。
※「Espoir~エスポワール~」読まなくても差し支えは無いがハーメルンの笛シリーズDark Ange Therapyに詳細アリ。
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