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「お待たせ!」
寿哉は待ち合わせ時間ほぼピッタリに、
由依の前に座った。
寿哉は面長でスーっと通った高い鼻、
整った眉、
切れ長の漆黒の瞳は
人を惹きつける不思議な光を宿している。
サラサラの黒髪はショートカット。
一見すると爽やかな美青年、という感じか。
背が高くスリムな彼は、
ネイビーのスーツがよく似合っていた。
由依はウットリと彼を見つめ
「全然待ってないよ」
と微笑んだ。
二人は少し喫茶店で過ごすと、
彼の誘導に従い目的地へと向かった。
明日明後日は土日。
由依も寿哉もオフ。
つまりこれからずっと二人で過ごせるのだ。
由依は幸せでフワフワしていた。
寿哉が連れて行った先は、
SDドールのお店だった。
まるで生きているかのようにリアルな人形達…
そして美しい。
由依はたちまち夢中になった。
インターネットの世界ではよく見ていたが、
実際に見たのは初めてだ。
小さい頃夢見ていた、
プラチナブロンドの髪、
金色の巻き毛、
亜麻色の波打つ髪…
深いブルーの瞳
クリアブルーの瞳
エメラルドの瞳
紫色の瞳…
ゴージャスなドレス…
どれもが夢に思い描いていた
女の子のお姫様願望を満たす世界だ。
…連れて来て正解だったな…
幸せそうに恍惚と人形達を見る由依を、
寿哉は嬉しそうに見つめた。
寿哉はそっと彼女に近づくと
「気に入った子がいたら、
一つ買ってあげるよ」
と耳元で囁いた。
由依は一気に現実に返る。
「そんな、ダメだよ。高いもの」
と慌てて囁き返した。
彼は大丈夫、と言うように大きく頷くと
「気にしないで大丈夫だよ!
しっかり相場をリサーチして溜めてきたんだから。
もうすぐ由依の誕生日だろ?プレゼントさ」
と答えた。
寿哉は、いつか由依に本物のSDドールを見せて、
気に入ったのをプレゼントしてやろう!
そう思って大学で
アルバイトをしたお金をコツコツ溜めてきていたのだ。
由依はビックリしつつも、
「有難う!」
嬉しそうに頬を染めた。
「好きなの選べよ、値段気にするなよ」
と彼は囁いた。
…どの子も素敵で迷う…
最終候補で絞ったのは、
黒髪ストレートロングに漆黒の瞳の儚げな子と
プラチナブロンドの波打つ髪に
海のような深いブルーの瞳の子。
の二体に絞られた。
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