1人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?」
「歴史が変わるんだよ。新時代の記念日だ。よく覚えとけよ、最後の授業ってヤツだ。ま、それを活かす機会はないがな。さて、やっぱりお前はリニーの居場所を知らないな?」
ばれた?
ソーイのメガネが情報を映している。「はは、図星か。心拍が急に上がったな…他に何を隠してる?」
ユーゴの頭は状況を整理するのに必死だった。落ち着け、と言い聞かせる。相手の方が有利だが、完璧じゃない。まだ知られていないことがある。
トンネルは一つじゃない。
ユーゴは一気に駆け出した。「やれやれ」ソーイは手を挙げてサッケルを稼働する。逃げた生徒の背中を追って機体が動き出す。「まだ捕獲プログラムが完璧じゃないな。まぁいい。捕獲はキャンセル。殺せ。さて、面倒なのはもう一人の方か」モニタを確認した。「ルーゲルが?」
ユーゴに勝算はなかった。トニアにも教えていないトンネルはあるが、それは未完成だからだ。『ディック』は掘り進めていく内に洞窟につながり、どこかに出られないか期待したが、土中から何かの機械音がしたので中止にしていた。身を隠す程度はできるかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!