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眼下に現れたのは倒れて動かないクラスメート。雨で血が流れ土に染みている。
「あ…あ」ユーゴはクラスメートに近づく。「おい…ジッタ? ベートス?」
死んでいるのは明らかだった。クラスの男女が折り重なるように倒れている。襲われたのは一瞬で、逃げる暇もなかったのだろう。
「そんな…」ユーゴは崩れ落ちた。「ダン…」背中から血を流したダンの傍に、預けていたユーゴのリストコンソールが落ちていた。左手にはめると起動音がしてスリープから戻る。壊れてはいないようだ。「Safety」の青い表記が出る。メッセージは0件。
足音。
ユーゴは振り向いた。「ソーイ先生!」
ジャケットを着た、なで肩のメガネの男性が歩いてくる。「ユーゴ。キミは無事だったんだね?」
「…なにがあったんですか?」
「キミはどこにいたんだい?」
「あ…その、みんなより後ろにいて」
「そうか。ここは一旦離れよう。まだ安全とはいえない。キミが見つかってよかった」ソーイが疲れた顔に笑みを浮かべる。ユーゴの肩にそっと手を置いた。
「少し落ち着くといい。話はそれからだ」
ユーゴはほっとしてソーイの後を歩き出した。安心したからか、疲れが出た。足取りが重い。
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