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ソーイは倒木や窪地に悪戦苦闘しながら歩く。
「先生、そこぬかるんでて」ユーゴが注意するが間に合わない。
「おっと」ソーイは足をすべらせ、ピカピカの革靴がぬかるみにめりこんだ。
「全く、参るね」と苦笑いする。「しばらく歩かないと、これだ。ちょっと雨宿りしようか」
大木の下でソーイは立ち止まった。
「あの、先生。この辺りにロボットがいるんです」ユーゴは周囲を警戒する。
ソーイは間の抜けた顔をした。「当たり前じゃないか、何を今更。この時代、ロボットがいない場所なんてない」
「マイキーじゃないんです。その…」
「なんだい」
「サッケルが」
「サッケル? 軍事用の?」
「はい。この辺りじゃルーゲル刑務所にしかいないはずですよね?」
「まぁ…そうだね。見間違いじゃないのかい?」
「授業で教わりました」リストコンソールを操作する。空中にバーチャルモニタが浮かんだ。サッケルの写真を表示する。「これです。間違いない」
「ふむ…映像は記録したかい?」
「いえ…そのときは…リスコン付けてなくて」
「そうか。キミはまだ旧型のリストタイプだったか」
「あの、一体何が起きてるんですか。サイレンも鳴ったし」
「サイレン?」
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