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≪俺たちの毎日は、ロボットに管理されている。その方がずっと効率的で安心だ、と多くの大人が信じている。『あの日』から10年の歳月がそれを証明し、そうして人間は考えることを止め、すっかり油断した。管理が支配に変わる日が来るなんて、冗談だと思ってた≫ 夜の街で火の手が影を作る。連なる建物は炎上している。ロボットたちが炎の前を歩いて来る。 影の中でその目だけが光る。 2068年6月29日13時。曇り空は雨が近い。 リグノル寄宿学校14歳クラスのユーゴは森の隠しトンネルを戻っていた。 「トニア? そろそろやばいぞ。トンネル出ろよ。歩行訓練サボってるのばれるって」小声でクラスメートを呼ぶ。 唐突にサイレンが鳴り響いた。演習? 避難? 理由が分からずユーゴは不安をかき立てられる。 来た方向からガサガサ音がする。ユーゴはかがんだ姿勢で走り出す。起動もしていないバーチャルモニタの一文がなぜか脳裏に浮かんだ。入学してまず必ず教えられる、あの文章。 ≪ロボット三原則 第三条 「ロボットは第一条・第二条に反しない限り、自分を守らなければならない」≫ 音はトンネルの途中、藪の向こうからしている。トニアめ。なにやってんだ。もしかして昔の金属製品でも見つけたか。許可のない金属の所持は禁止だ。 「変な金属なんか拾うなよ。マイキーに気づかれたらどうすんだ」ユーゴは身を起こし、藪を覗いた。 ≪ロボット三原則 第二条 「ロボットは第一条に反しない限り、人間の命令に従わなければならない」≫ ユーゴは立ち尽くした。動けない。『1』とナンバリングされたサッカーボールサイズの監視ロボット『マイキー』が1台、破壊されて転がっている。音の主は人型戦闘系ロボット『サッケル』だ。むき出しの金属体に注意喚起のための軍用ロゴ。2mはある二足歩行型が地面に這いつくばるようにして、何かに覆いかぶさっている。鋭い左アームがその何かを刺して― ≪ロボット三原則 第一条 「ロボットは人間に危害を加えてはならない」≫
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