リュートに会う前の可奈

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救急カートを601号室へ持っていく。 601号室では、千堂先輩が患者の心臓マッサージをしていた。 私は突然の出来事に、気が動転していた。 「先生呼んだの。」 「はい」 「瞳孔開いてる? チェックして」 「は、はい」 ペンライトで患者さんの瞳孔をみる。光をあてて収縮しないといけないのに収縮しない。 「瞳孔開いたままです。」 「まずいわね。さっきまで反応あったのに。」 先輩は心臓マッサージをしながら、私に指示をだす。 とにかく、先輩の指示に従うしかなかった。 工藤ドクターが入ってきた。 「どうなってるんだ。」 「先生、VF(心室細動)後 心肺停止です。」 「(電気)除細動器使うぞ。代わるから準備してくれ。」 工藤ドクターと心臓マッサージを代わると、千堂先輩は除細動器の準備を始める。 「準備できました。」 「ベッドから離れてくれ」 ドックン 電気除細動器を、患者の胸に当てた。衝撃で上半身が上に上がる。 一度では戻らず 3度繰り返した。。 「心拍戻りました。」 「点滴全開してるか」 「はい」 「輸血ラインとるから 18G準備」 先輩とドクターが処置を行う中、私は何もできず横で立ち尽くしていた。
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