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「あんた 山本さんの心電図アラーム横で鳴ってたのに、何ボーとしてたのよ。
準夜からの申し送りで、山本さんおしっこの量も減って、血圧も下がってるって聞いてたでしょ。
もー なんとか助かったからよかったけど、山本さん死にかけたのよ」
患者山本さんが落ち着いた後、ナースステーションで私は堂本先輩からお叱りを受けていた。
脳腫瘍の手術後の山本さんは、オペ後の状態がよくなかった。
準夜から深夜の申し送りで、山本さんの状態が悪いことは聞いていたが、まだ看護婦になって9ヶ月の私は気が回らなかった。
集中すると周りに神経が使えない私は、点滴にアンプルの液を注射器で、注入することに集中するあまり、心電図の異常アラームはきこえていなかったのだ。
もし、千堂先輩が気がつかなければ、患者さんは死んでいたかもしれない。
「はあ......あんたなんでこんなにどんくさいの。
同じ新卒の鶴川さんは、何でもできるのに」
新卒の鶴川さんは准看あがりの正看護師だ。
働きながら准看護師 、正看護師の免許を取った彼女と、 高校卒業後、看護学校で3年勉強後、正看護師になった私とでは、臨床経験の差はあって当たり前だ。
しかし同じ新卒としていつも比較されていた。
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