遥か～夢を叶え続けるということ 《はるか遠い君へ1 》

リュートに会う前の可奈

救急外来の次に患者死亡率が高いこの脳外科病棟。

新卒は救急外来には配置されないので、新卒の私たちの中では一番大変で苦しい職場だ。

私......内科希望したのに......どうしてここに配置された?

いつもそんな疑問が浮かぶ。

看護学生の時ものんびり型の私。
それが優秀さが求められるこの脳外科に、なぜか配置になった。

段取りが悪く、ほとんど時間内に仕事が終わらない。
ミスだらけで、先輩ナースに怒られることはしばしばだった。

仕事が終わると、自分のふがいなささと、くやしさで、更衣室で毎日座り込んで泣きそうになった。

先輩ナースに怒られて......自信なんてボロボロ......

自分のあまりの出来なさに、この仕事に向いてないなぁと思うのだった。

深夜勤務の後、何とか日勤の人に申し送りをした後、今日も更衣室で座り込んでいた。

「可奈どうしたの?」

今日も自分の不甲斐なさに落ち込んで、更衣室のロッカーにもたれかかっていた私に、同じ新卒の美香が声をかけてきた。

彼女とは看護学校時代から、仲良くしていた。
私以上にのんびり屋で可愛い系の美人だ。
彼女は眼科病棟の配置になった。