静心

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**** 夜の帳が落ちると、風がさらに強くなっていた。 室内にも関わらず、ヒューヒューと轟音が聞こえてくる。 窓から外を覗く。 住まいは河沿いなので、ここからでも桜並木が見える。 しなる枝から、次々と花弁が渦巻いて散っていた。 「桜も、もう終わりやねぇ…」 小さく独りごちる。 すると、寄り添う気配を感じる。 隣を見上げると、あの人も窓の外を眺めていた。 「…それが自然の摂理やけん、仕方がない」 そう言うと、彼は寂しそうに微笑んだ。 「ホント…情緒ないんやけ…」 私が不満げに唇を尖らせると、ハハハと今度は声を上げて笑った。 そして、私の手に大きな手を重ねて、散りゆく桜を見つめた。 私も視線を桜へと移す。
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