静心

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うららかな日差し照らす河畔沿いの遊歩道。 桜並木となっている道は、春風に吹かれて、ひらひらと薄紅色の花弁が舞っている。 「うわぁ、今日はカモメがむっちゃおる!」 河の中、優雅に漂う鳥たちを見て、美利(ミリ)ちゃんが顔を強張らせる。 「いつものことやない?」 「まあ、そうやけど…」 彼女は肩を竦めて、キョロキョロと周りを見渡す。 「…おらんよ。今日は」 私はクスクスと笑いながら、彼女の心配事を解消してあげた。 「ああ…よかったぁ…」 と胸を撫でおろす美利ちゃん。 この遊歩道を利用する人々は色とりどり。 家路へと向かっているサラリーマン。 音楽聞きながらジョギングしている青年。 子どもを乗せて自転車を漕ぐお母さん。 友達とベンチで談笑している学生。 管楽器を練習する演奏家。 野良猫を愛でるおばあちゃん。
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